【明日使えないうんちく】ワーファリンの発見は牛の謎の死から・・・#001

明日使えないうんちく

ワーファリンとはどんな薬?

ワーファリンは、医師が処方する薬の一つで、血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の治療及び予防に使用します。

抗凝固作用及び血栓形成抑制作用(簡単に言うと血液が固まらないようにする作用)を持つ薬で上記のような病気の方に使います。

近年では様々な抗凝固作用の薬が出ている中、ワーファリンはまだ現役で使用している昔からある薬です。

始まりは牛の謎の出血死・・・

1920年アメリカで酪農している多くの牛が出血多量により死んでしまう病気にかかってしまうことからワーファリンの発見は始まります。

調査をしてみると悪さをしていたのはスイートクローバーと呼ばれる牧草にあることを発見しました。このためこの出血死の病気は「スイートクローバー中毒」と呼ばれることになりました。しかしながら、それはただの正常のスイートクローバーではなくカビの生えた病気のスイートクローバーであったことがわかりました。

スイートクローバーにはもともと「クマリン」と呼ばれる物質があり、研究によりその「クマリン」がカビの作用により「ジクマロール」と呼ばれる物質に変化してしまい、これによって牛が死んでしまうことがわかりました。

最初は殺鼠剤として使用されていた?

このジクマロールは牛以外にもネズミなどの多くの動物にも効果があることがわかり、ジクマロールをもとにワーファリンを製剤し、殺鼠剤として使用されることになります。

ここでどうしてワーファリンが血を流れやすくするかを説明しておきます。

そのためにはビタミンKの作用を知っておく必要あります。ビタミンKの作用の一つは、ケガなどで出血した際に、血液凝固を助け止血する事です。

ワーファリンはビタミンKに構造が似ており、ビタミンKの作用に拮抗するように作用します。つまり、ワーファリンが直接的に血を流しやすくさせるわけではなく、ビタミンKによる血液凝固作用を阻害する事で血液が固まらないように作用します。

ジクマロール

 ワーファリン

ビタミンK

そして抗血栓の薬、ワーファリンへ

ワーファリンは多くの動物に作用があり、もちろん人間にも同様に作用を起こします。しかし元々は殺鼠剤であり治療用としての薬ではありません、どうして人間に使用するようになったのでしょうか?

昔に殺鼠剤のワーファリンで自殺をしようとした人がいて、ビタミンKを投与することで解毒できたことが治療に用いられる第一歩となりました。今では治療用として、血栓症と呼ばれる、血の塊が心臓や脳に詰まってしまう病気に今でも使われる薬となりましたとさ、おしまいおしまい。

抗生剤のペニシリンの発見は、カビからというのは有名ですがそれ以外の薬にもこんな経緯があるのはびっくりですよね。第一回のうんちくは自分が薬にかかわる仕事なのでワーファリンにしましたが、いかがだったでしょうか。楽しんでいただければ幸いです。

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